| TOP Short Novel Long Novel Review Interview Colummn Cartoon BBS Diary |

わたしの心の宝石箱

doru

 

昔住んでいた家の近所に神主もいない小さな神社があった。木立が多いのになぜか明るい神社と子供の公園の定番のブランコ、すべりだい、鉄棒がある神社と公園の機能をかけそなえた子供にはうってつけの遊び場だった。

神社の横の家におじいさんとおばあさんがいる駄菓子屋があった。私は親からお金をもらって、ちいさなちまちましたものを買っていた。いちごあめ、脂肪分たっぷりのヨーグルト、すこんぶ、そして箱があってその箱を破るといろいろなもの、はずれで蜘蛛のおもちゃ、あたりだとかなりリアルなゴムの蛇のおもちゃなど。男の子用だけではない、女の子には、胸をかざるブローチ、今で考えたら安っぽいおもちゃだけど、それがほしくてほしくて何度もくじをひいた、外れだとおもちゃの指輪、ブローチ欲しさに何度も挑戦して10本の指に指輪をしたころやっとブローチがあたった。家に帰って母親に怒られたな。

それから紙芝居屋も毎日3時頃になるとやってきていた。内容は忘れてしまったが、毎日何枚かづつ紙芝居でいろいろなお話を聞かせてくれて、聞いた後にはあまり衛生的とは言えない駄菓子を買って喜んでいた。その中にかたぬきというのがあって、かたを上手に抜けたならご褒美にせんべいにどろソースを塗ったものをくれていた。ちょっとの不注意でかたぬきは失敗するのだけど、あるとき1枚だけ成功した。外枠も内枠も完ぺきだった。外側をやさしくもっていたのだけど、子供同士がぶつかって外枠が壊れてしまった。すでに内枠は口の舌の中に乗せていた。舌をべろーんと出して、紙芝居のおじさんのところに持って行ったら笑いながらどろソースをつけたせんべいをくれた。嬉しかったのを覚えています。

こんな年になるまで覚えているのだからときどき出して眺めては、眺め終わった後は私の心の宝箱にまたしまっておくことにしよう。


トップ読切短編連載長編コラム
ブックレビュー著者インタビュー連載マンガBBS編集部日記
著作権プライバシーポリシーサイトマップ