この作品につきまして

　これは、私が小説を書き始めた頃の作品で、今から５年ぐらい前に書いたものです。ある公募の場で発表したことがあるので、ひょっとしたら、内容をご存知の方がおられるかもしれません。私は、この作品でＳＦ作家の筒井康隆さんや堀晃さんにファンタジー小説の書き手として発掘して頂き、その後、様々な体験をさせて貰いながら今日に至っています。そういう意味で、非常に懐かしい、思い出のある作品です。
　５年たって読み直してみると、個人的には小説としての物足りなさを感じる部分もあるのですが、今回、できるだけ初稿の雰囲気を残したかったので、物語の大筋は変えず、そのままにしてあります。ただ、文章だけは、少しだけ手直ししました。昔の文体は、さすがに荒削りで癖があり、本来、もっと修正すべきなのでしょうが、この独特の雰囲気を消し去りたくなかったので、あえて、初稿のまま残している部分もあります。
　発表当時は、エコロジー・ブームとの絡みで語られたこともありましたが、私自身は、そういうことを、さほど意識して書いたわけではありません。社会現象としてのエコブームが一段落ついた今、本来のテーマであった部分を、読み手の方が、自由に読み解いて下さればと思います。
　原稿用紙換算で２０枚ほどの短い作品なので、気軽に楽しんで下さい。

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