雨の日曜日。
ご主人様はリサイタルの練習に余念がないちばん上等のジャケットなんか着込んで骨のシロホンをきれいに並べてるてる坊主が演奏に合わせて揺れるからあたしは思わず飛びつきたくなっちゃうす暗い空からドロップみたいな雨粒が色を変えながら落ちてくるくる回りながら木の葉が流れていくのを見ていたら急に外へ出たくなってあたしは専用のドアからそっと抜け出して森へ向かったのしい曲がうしろから流れてくるあれはリサイタルでアンコールがあったら演奏する予定の短い曲であたしの名を取ってパンケっていうのよそ見をしてたらがまがえるのご隠居にぶつかりそうになったそがれ時でもないのにのそのそ出歩いてるところを見るとどうやらいつの間にか森のはずれに来てたみたいら草の藪をくぐるとそこは魔女のパンケの家なノウルシにキツネノボタンこれはヒメウズあらマムシグサトイモみたいなミミガタテンナンショウっとりするようないい匂いはスイセン濯場のまわりをごらんなさいナツトウダイグサノオウマノアシガタガラシっぽをゆらゆらさせながらあたしは歩いて回るのよくもこんなに毒のある草花ばかり集めたものねずみの後を追いかけて行くとドアの前の床がいやな音を立ててきし村はずれに棲む魔女の名前があたしと同じなのは偶然だよってご主人様はおっしゃるのよそでもここでも魔女は猫みたいな名前を名乗るものなんだってんからあたしは信じちゃいないけどうせあたしはまだ子猫だからご主人様はまともに相手をしてくれないんだわるい魔女だったらどうしようでもここまで来たら入るしかないよねずみを捕まえたらおみやげに持って帰ろうす気味悪い部屋ねり香だの薬草の束だの干したトカゲやイモリにカエルビー色の瓶に入った色とりどりの目玉あるい大きな鏡の前であたしは魔女のパンケが泣いているのにでくわしたっぷりとウェーブのかかった髪を腰まで垂らし手には短い杖を振りながら何事か呪文を唱えるとたんに鏡の向こうにご主人様の姿が見えたものだから思わずあたしはにゃあと声を上げたのだけど魔女のパンケはそれにも気づかずじっと鏡に見入っているのまるで特別大きな獲物を狙っているみたいにっこり笑いながらご主人様は4本のばちをテーブルに置いて額の汗を拭いたかと思うと魔女のパンケときたらご主人様の腰を抱くみたいに腕を回して鏡にほっぺたをくっつけながらしくしくと泣いてるんだわさび色の涙を流してみっともないったらありゃしないきなり後ろを振り返ると魔女はあらお前だったのとつぶやきながら爪を長く伸ばした指で涙をぬぐったその仕草はなんだか子どもみたいで笑っちゃうるさい子ねえと言いながらも差し招くからついあたしは近寄っていくるみの殻にミルクを入れて床に置いてくれたのをぴちゃぴちゃ舐めていると魔女は深いため息をつきながら窓ガラスにご主人様の名前を書くとそれに続けてじぶんの名前を書いてしばらく考えていたけどやがて杖を振りながら文字をあれこれ入れ替えて意味のあることばにしようと苦労してでもうまく行かなくてぱっと消してしまったあとんとん細い指でガラスを叩きながらそれはさっきまでご主人様が演奏していた曲のリズムなのをあたしは知っているのんびりお化粧を始めたあたしを見ながら魔女はふつうの人間と交わっちゃいけないのよ魔力がなくなってしまうのあのひとが魔法使いになってくれればいいのだけれどそれは無理よねあのひとは音楽家なのだものねこは気楽ね憎たらしくなっちゃうなどと言いながらあたしのお腹をゆっくりさすってくれたからあたしは魔女の手を舐めてあげたら薬草とミルクと蜂蜜のまじったいい匂いがしたせいであたしは眠くなって暖炉の前で丸くなったそのあとは覚えていないのだけど目が覚めたらあたしは黒猫に変えられてたから驚いて魔女の家を飛び出して雨の中を走っているうちに少しずつ色が抜けてご主人様の家につくころにはまた真っ白に戻ってきたあたしを一目見たご主人様はお前また魔女の家に行ってたんだねごまかしてもむだだよほらご覧と言いながらあたしを抱き上げて鏡を見せてくれたしかにあたしの片目は魔女とおんなじはしばみ色になってたその目に軽くキスしてご主人様はパンケとつぶやいたのはあたしのことなのかそれとも魔女のことなのかわからないけど。
風の月曜日。
どうしようあたし大変なことをしちゃったなの上に置いてあった鞠を取ろうとして飛びついたら本が倒れて落ちて来たのをよけてそしたら本が楽器の上に落ちてきてぱりんって乾いた音がしたかと思うと割れてしまったのシロホンの鍵っていうのかしら叩くと音の出るあそこがラスみたいに透き通ったすてきな音のするご主人さまがいちばん大切にしていてリサイタルでも大活躍する予定の骨のシロホンのそれもあたしの名前のついた曲のクライマックスで連打される鍵が割れたのよりによってあの鍵がひょっとしたらそれはその鍵がいちばんたくさん使われているせいなのかも知れないけどう言ったらいいのかしらその音がなくなってしまったらそれは例えば本の中からひとつの文字が消えてしまうようなものなんだ割れてしまった鍵をなんとかして元に戻そうといっしょうけんめい舐めているところへご主人様が戻ってきてあっと声を上げながら大慌てで駆け寄ってくると両手に抱えてた荷物を全部落としてしまってものすごい音を立てた中にはあたしの大好物のイワシの缶詰なんかも入っていたからよけいにあたしは悲しくなってご主人様の顔を見上げてにゃあと泣い立ちつくしていたご主人様はああパンケ困ったなあこれは白猫の貝殻骨から作ったものなんだよろよろと椅子に腰掛け頭を抱えながらあたしの方を一瞬だけ怖い目で見てぶるぶるっと首を振っていやいかんいかんお前をそんなつもりで飼ってるわけじゃないんだなんてことを考えちまったものだろう俺ってやつはまった苦しそうにしていらっしゃるご主人様の足下に近寄って身体をすり寄せるとご主人様は放心したようにあたしの背中をなでながらぶつぶつ呟き続けているの何か代用品を見つけようかそれとも曲を全部書き直してみよう貝殻を削って形を整えたらなんとかならないかよしこうしちゃいられないても立ってもいられんぞろぞろ物置からいろんな石や木や動物の骨や貝殻なんかを引っ張り出してきてひとつずつばちで叩いて試してはため息をついているのを見るのがつらいからあたしこっそり外へ出るとますます風が強く吹いていてあたしは飛ばされそうになりながらふらふらと歩いていたぶんあたしが死ねばあたしの身体から材料が手に入るんだわどうやって死んだらいいんだろうら山に住んでる鷲に食べてもらおうかしらでもそれじゃ骨も残らないかも知れないしだいいち誰が死体をご主人様のところまで運ぶのよそで死んじゃいけないんだ家の前か中でない飛んでくる木の葉や草の葉を眺めているうちにあたしは魔女のことを思いだしたくさん庭に生えていた毒草を片っ端から口に詰め込んでそのまま家に戻ってミルクと一緒に飲み下したラッキー死ねるじゃないそげ急げあたしは地面すれすれを這うようにして魔女の家までやって来た。
嵐の火曜日。
たまんないわねあの白猫ときたらあたしのドアの前で息たえだえになっていたんだものら猫だったらそのまま放っておくところだけどあの人の飼い猫とあれば助けないわけにはいかないじゃないそいで家に入れてタオルでよーく拭いてやって湯たんぽで暖めてやろうと思ったらなかったからフラスコにお湯を入れて柔らかい布でくるんで気付けのハーブを吹きかけてやったんだ悪いけどあたしって回復系の魔法って得意じゃないんだものの見事に効いたから自分でも驚いちゃったちまち元気になってにゃあにゃあ鳴きだしたのには参ったよせばいいのに相談にまで乗っちゃってさあたしったらほんとにお人好しってるわよあんたがこの嵐の中をわざわざあたしのところまで来た理由ぐらいまさら言わなくてもわかってるだってあたしはずっと鏡で見ていたのだものあんたが楽器を壊すところをでもあたし念力は使えないからあんたを空中で止めることはできなかっ助けてくれってあんた覚悟はできてるでしょう猫の骨で作るのよあの鍵はそれもちょうどあんたぐらいの小さな白猫がいちばんなんだ身体を差し出すつもりで来たんですってまあ殊勝だことんでもないくら頼まれたってあたしは骨だけを取り出すなんて芸当はできませんことよしよしそう鳴くもんじゃないわ何かいい方法を考えてあげるか乱暴な方法かも知れないけどこれは魔法に限ったことじゃなくて世の中すべてに通じる法則なのよひとことで言えば何かを成し遂げるためには何かをあきらめなくちゃならないってことなのってこんなことあんたに言ってもわからないかなんたってしょせん猫だものねえそこに横になりなさいあたしも隣に寝るからよっこらしょっとちょっと狭いわねこのふわふわした毛が肩にさわってくすぐったいいこと大人しくこの薬を飲むのよそうしたらあたしたちは一緒に夢を見るのその夢の中で力を合わせてこの世界を少しだけ変えてやるのよ何がどう変わるかはお楽しみってとこ眠りを完全にコントロールすることはできないしこれは無意識を利用する魔法なんだから猫はともかくとしてあたし自身にもあたしの無意識っていうのかなあたしの心の一番深いところにある願いや望みなんて知るよしもないのよしよし薬が効いてきた眠くなってきたでしょうまく行くといいね…
空白の水曜日。
ねえあんた聞いてる魔法っていうのは呪術とは違うしもちろん科学でもなくて強いて言うなら微分と選択の技術なのだっていうのがあたしのお師匠の口癖だったのほほんとした顔でわけのわからないご託宣をのたまうのが得意だったわ決して理屈はむずかしいことじゃないの要するに自分の意識と行動を細かく細かくうーんと細かく細分化していくと一瞬一瞬に無限の選択肢があるわけなのよその一瞬に何を選ぶかによって世界は次々に分岐していくのだから一瞬ごとに正しい選択を繰り返せば未来は思いのままってわけっこう簡単そうでしょ嘘のようなありえそうにない事でもその確率はゼロではないそして起こり得ることは必ず起こるのだってお師匠は言うの水を酒に変えほうきにまたがって空を飛び壁をくぐり抜け分身を操り使い魔を従ええとにかく何だってできるのよ選択さえ誤らなければあたしとあんたが溶け合って別のなにかになることなんて簡単なことなんだわそれにあたしとあんたは同じ名前なんだもの似ているものは同じものであるっていうのは魔術の基本だし同じ名前を持つものは姿かたちが違っていても同じ存在の別のあらわれに過ぎないなーんてこんなことをあんたに言っても仕方がないわよねってあらもう薬が効いてきたんだわたしたちの境界があいまいになってもう私は自分が誰かもわからないままたった今生まれたところ私はパンケという名で不思議なひびきを持ったその古いことばの意味は「白い骨」。
よく晴れた木曜日。
眠れないまま一晩中いろいろな材料を試してみたが結局代わりになるようなものは見つからなかっ高く澄んだあの音色が出せないのなら仕方がない今度の演奏会は中止にしようまく行ったら森の魔女どのに交際を申し込もうと思ってたんだがっかりだがまあいいさまたやり直せばいいこ戸棚からカップを取ってお茶を注いで風に当たろうとポーチに出てみたおれはびっくりしてカップを取り落としちまっ大変だ家の前で若い娘が行き倒れてるじゃないかそれも一糸まとわぬ裸だなんて昨夜の嵐で森から迷い出てきたニンフだろうかとにかく毛布か何かでくるんで家にいれてやらなくちゃ息はしているようだがなんて冷たい指だろうそれにこの軽さときたらどうなってるんだ毛布だけのときより軽くなったような気がするぞっとにかくベッドに寝かして何か着せてやらんことには目のやり場に困ってしまうちの猫はそういえばどこへ行ってしまったんだろうまさかあの嵐の中を出歩いたんじゃあるまいなんて日なんだいったい今日はさあこれでよしよく眠っているな唇に赤みが戻ってきたぞこうして見るとなかなか美人だが見かけない顔だもう少し様子を見てそれでも目をさまさないようなら魔女どのを呼んで診てもらうとしようそれから猫のパンケを探しに行かねばなあいつまさか責任を感じて家出したんじゃあるまいなそれともおれがほんの一瞬でもあいつの骨を使おうかなんて考えたのを察して逃げてしまったのかもしそうなら悪いことをし頼れるのはおれしかない哀れな子猫だっていうの逃げないで戻っておいでとつぶやいた時にはすでに夢の中にいておれは暗い森をあてどなくさまよってい黄昏どきのようなうすぼんやりとした光に照らされ曲がりくねった道のすぐ先にパンケの気配がしているのだがどんなに急いでも追いつけないらいらしているうちにおれは魔女の家の中にいて大きな樫の木のテーブルに横たわっているのだがおれの腹は蓋を取ったみたいに開けられていてパンケのやつが顔を突っ込むようにしておれの肝臓をむしゃむしゃと食べているのだったおれは上機嫌でなかなかうまいもんでしょうワインにもよく合うんですよなどとへらへらお追従を言ったりしているうちに食事を済ませたパンケがていねいに頭を下げてこれでお別れですなどと挨拶を始めたそもそもこのパンケというのが夢の中では猫でもあり魔女でもありそのどちらでもない奇妙な生き物であたしたちはいなくなりますが後に子どもを残して行きますからどうかその子をよろしくお願いしまするとおれは目を覚ましてベッドの中をのぞき込んだがそこではさっきの娘が目を開いてこちらを見返していた瞳の片方は金でもう片方は銀色の泣きそうな顔をしているからおれはなんだか切なくなって思わずパンケと呼びかけたのを聞いて娘は静かにうなずいた。
霧の金曜日。
黄昏時から霧が出始めて演奏会が始まるころには会場はすっかり霧に包まれてイタリア風のバルコニーはまるで船の見張り台のよう誰かの車がまた黄色いヘッドライトで円錐形に霧を照らしながらやって来るり色のライトに照らされたステージはそれこそ海のよう伝説の人魚姫にぴったりだとおれは呟き演奏が終わるまでここで待っているんだよと娘に声を掛けると娘は承諾のしるしにこくんとうなずいたからおれは階段を駆け下りてステージに向かうと怒濤のような拍手がわき上がったがおれが4本のスティックを高々と上げるとうそのように静まってしわぶきひとつ聞こえないきなりおれはスティックを振り下ろし高く澄んだトレモロで口火を切って後も見ずに走り出したんたたんつたたんたたんずだららららぴきんすとかーんどろどどろどロールしながランダム虹の音階でゴングをうち鳴らシンバルを炸裂さ背中がぞくぞくするような摩擦音を響か世界を震撼させるの大音響!っとここから一転静かにしずかにしず蟹がそろそろ横歩きするような落ち葉が舗道をひっかくよう滑らかに次第に賑やかに華やかにいいぞいいぞあとはもう流れに身を任せるだ決して振り返らず踏みとどまらず深く深く自分の底に潜り込んで無心に真珠を拾うのだ気がつけば煌々と照りつけるライトどよめく会場いったい何が起きたんだそうか前半の演奏が終わったんだんだん足を踏みならしてるぞあれはブーイングなのかそうじゃないお客は喜んでいるらしいけない挨拶しなくちゃありがとうありがとうほんとにああまだ拍手がなりやまないぞ少し休ませておくれパンケはどうしてるのかな階段を駆け上がって控え室のドアを開けるとあの娘が飛びついてきたまるで猫みたいに頬を流れ落ちるおれの汗を舐めていやがるくすぐったいなああそうかいそんなによかったかいありがとう君のおかげだよ君があの骨を持ってきてくれたからこんなにうまく行ったんだまあそこにソファがあるから一緒に座ろうす暗い部屋の中で娘の瞳が金色と銀色に輝いてなんてきれいなんだろうそれにしても君はあの骨をいったいどこからどうやって手に入れたのだろうねえおれが思わずパンケと呼んだと君はうなずいて手の中に握りしめていた白い骨を差し出したのだったそれが割れてしまったはずの鍵にそっくりだったのだねえ君これをどうしたのと尋ねても君は答えてくれなくて思わずおれは君の肩をつかんでゆさぶってしまったが許しておくれどうやら君は口がきけないのだねあれからひとことも声を出したことがないものなおれがしゃべったことは理解しているようなのにかわいそうなパンケさあもう次の演奏を始めなくちゃおとなしくここで待っていなさいいかいバルコニーから見ていておくれアンコールがあったらパンケという曲を演奏してあげるからこれはいなくなってしまった猫と魔女の想い出に捧げた曲なんだよかき消したみたいにふたりともというのはおかしいかい一匹とひとりが姿を消してしまったの淋しいことだよねえこうして白い鍵をそっと叩くとまるで遠くから誰かが呼びかけに応えてくれそうな気がするじゃない微かにすすり泣くように波が寄せては引くようにおやこの声はなんだいおれの演奏に合わせて聞いたことのないでもどこか懐かしくてこの音色にぴったりの声を会場の誰かが出しているんだなこんなに綺麗な声の持ち主がここらにいただろうか王宮の歌姫でもおしのびで聞きに来ていたんだろうか声のもとを探して見上げたおれは見つけたあの娘だったのか歌っていたのは声を出せないわけじゃなかったんだないやしかしこれは歌ではないぞ言葉になっていないからそうか昔魔女どのに聞いたことがあった世の中には言葉の出なくなる病気というのがあってある日突然他人がしゃべっている言葉がわからなくなったり耳で聞いたことばは理解できても自分では話せなくなったりするらしいのだがそうした病人でも言葉のない歌なら歌えるんだそうなんだか嬉しくなってきたぞさあ今度は楽しい曲にしてやろうよ聞いた人がみんな幸せになれるようなさあおいでここへ降りてきて一緒に演奏しよう観客席のみなさんもよろしかったらご一緒にどうぞこれがフィナーレですっとおれのそばに寄り添った娘の肩を抱きながらおれは片手で鐘をうち鳴らしそれは晴れやかな婚礼の鐘となって響くるくると舞う鳩色とりどりの紙吹雪そのとき誰もが奇跡を目の当たりにした何もない空中から色も香りもさまざまな無数の花びらが舞い落ちて来たの誰もかれも手を伸ばしてそれを掴もうとしたがあるものは指に暖かみをあるものは涼しさを残して消えてしまうのだが同時にそれはいつまでも降り続けて人も建物もついには町全体が宙に浮かんでいくようだったおれは感極まって君にくちづけしながら結婚を約束したのだがその時おれは君の右肩の骨が無くなっていて少しくぼんでいることに気づいたのだった。
おまけの土曜日。
楽しみは束のまぼろしは現にして夜の夢こそ真なら今はその間にたゆたいつつ一滴を味わい尽くすべき午後。
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