踊る炎。テレビの明滅。二重の影が身じろぎし、呆けたような目がぱしぱし瞬きました。
「なんたることだ!」最高気温を聞いて老人は震え上がりました。暖炉のそばでぬくぬくとまどろんでいたくせに。数字というやつの心理的効果は侮れません。
「わしが良心に身を委ねたばっかりに。年は明け、新しい周期は始まっているというのに。古い太陽は今なお沈み続けている。若い活力を、犠牲を捧げなければならない。至急祭儀を執り行わねば。ああ、再びこの手を汚そうとは!」
言葉とは裏腹に、老人は喜々として安楽椅子を飛び出しました。しなびた顔が上気し、見る見る生気に満ち溢れ、今また老司祭はいわく言い難い威厳に包まれて、恍惚と作業に没頭するのでした。ハイホー。
翌日。
「こいつはキラーサンタの手口ですね」
「しかし時期が違う。無事に年を越したから引退してくれたものとばかり思っていたがな」
「模倣犯かも知れませんよ」
「或いはな。しかし暖かいな今日」
|