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賭博者たち

中条卓

どんな時だって儲ける奴はいる。風が吹けば桶屋が儲かるし、恐慌で自殺者が増えれば葬儀屋は大繁盛だ。あのバブルの時期にだって、高値で売り抜けて大儲けした奴は確かにいたんだ。

スサノヲの落下地点を当てるくじを売り出した奴だって結構儲けたんじゃないのかな。ほら、例の、緯度と経度を選ぶくじさ。アマテラスだったっけ、迎撃計画がうまくいってスサノヲが地球からそれたり、大気圏内で燃え尽きたりした場合には当選者なしとして全額を慈善団体に寄付します、なんて大見得を切ってさ。

「見ろよみろよ、たったひと月でこれだけの売り上げだぜ。もう2,3ヶ月この調子で続いてくれたら後は一生遊んで暮らせるぜ。まったくスージーさまさまだ」

「インターネット経由で申し込めるのも、配当をシミュレートしながら買えるってのも新機軸だったよね、だけど、賞金をこんなに大盤振る舞いしていいんかい? 赤字になったりしないだろうね」

「心配するな、なんのためにわざわざ住所を入力させてると思ってるんだ」

「えーと、『キャッシュを確実にお届けするため』、だろ?」

「あほう。おまえ、自分が今いる場所の緯度と経度も知らんのだろう。試しに入力してみな、北緯○度、西経○度って」

「あ、すごい金額!…ってことは?」

「自分の頭の上にあんなものが落ちてきて、それでも生き延びられる奴なんかいねえってことよ。そんな強運の持ち主がいたら、喜んで現金を届けてやらあ。もちろん、そんなことになったら現金なんて薪にもなりゃしないだろうがな」

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