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◆ H.G.ウェルズの世界 ◆
 

WWW: Wells & The War of the Worlds〜ウェルズと宇宙戦争をめぐるミニマムリンク集〜

 

「星間戦争」について 

中条卓 星間戦争

 そもそものきっかけは2003年夏の火星大接近でした。
 火星にちなんだSF作品で有名なものを新たに訳してみようかと思い立ったとき、まっさきに念頭に浮かんだのがウェルズの「宇宙戦争」だったのです。ウェルズは1946年に亡くなっているので著作権は消滅しているはず、と思って(必ずしもそうではないことが今回わかりましたが^^;)インターネットを検索したところ、上記リンク集の最後に挙げたページにヒット、これならパソコンさえあればどこでも翻訳できるや、と思って訳し始めたのですがなかなかどうして…
 今ではとんでもないことに手を出してしまったものだとすっかり後悔しています。

 Anima Solaris における翻訳のタイトルは「星間戦争」としました。これも後悔のタネですが^^;) 
 本邦では「宇宙戦争」というタイトルが定着しているのは、みなさまご存じのとおりですが、この作品における戦争はたとえばベトナム戦争みたいに宇宙が戦場になっているわけでもないし、世界大戦みたいな宇宙規模の戦争というわけでもありません。原題を直訳すると「(ふたつの)世界の戦争」になり、ここでいうふたつの世界はもちろん地球と火星なわけです。というわけで世界間戦争→惑星間戦争→星間戦争というタイトルにいちおう落ち着きはしたのですが、ふつうSFで星間といえば恒星同士の間のことなので、この訳にも問題がないわけではないのでした。

 訳していて思ったのは「ローカルな話やなあ」ということで、火星人たちが侵攻してきたのは英国それもロンドン近郊に限られているかのような書きぶり。当時の読者に受けるにはこうするしかなかったんでしょうが、地名がやたらと出てくるのにはいささか閉口します。あと困るのは乗り物で、ウェルズは乗り物おたくだったんじゃないかと思えるくらい、馬車や自転車、自動車に機関車そして船舶と多種多様な乗り物が登場してきます。いやはや、馬車にもこんなにたくさんの種類があったとは…

 何はともあれ、翻訳はようやく第一部が終わったところです。今しばらくタコ型火星人たちとおつきあいください。

 

余談:シュタイナー・賢治そしてウェルズ

ふと思いついてウィキペディアを調べてみた。

ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner, 1861年2月27日 - 1925年3月30日)

宮沢賢治(みやざわけんじ、戸籍上は宮澤賢治と表記、1896年8月27日 - 1933年9月21日)

H. G. ウェルズ(Herbert George Wells, 1866年9月21日 - 1946年8月13日)

 賢治が生まれた1896年からシュタイナーが亡くなる1925年までの30年間というもの、この3人は同時代人だったのだ。だから何なんだ、とつっこまれても困るけど。直接出会うことはなかっただろうけれど、同じ空気を呼吸していただけでも不思議な感じはしませんか? ちなみに20世紀の幕が開けた1901年1月1日にはシュタイナー39才、賢治4才、ウェルズ34才でした。

【H.G.ウェルズ出版物一覧】(児童書の一部を除いてあります/現在、入手出来ない本も多数あります)
 
作品名
翻訳
発行日
出版社
  宇宙戦争 創元SF文庫 中村融 2005/05 東京創元社
  宇宙戦争 創元SF文庫 井上勇 1997/08 東京創元社
  モロー博士の島 創元SF文庫 中村融 1996/09 東京創元社
  世界最終戦争の夢 ウェルズSF傑作集 創元SF文庫 阿部知二 1998/07 東京創元社
  タイム・マシン ウェルズSF傑作集 創元SF文庫 阿部知二 1997/07 東京創元社
  ウェルズSF傑作集 1 創元推理文庫 阿部知二 1982 東京創元社
  ウェルズSF傑作集 2 創元推理文庫 阿部知二 1981 東京創元社
  宇宙戦争 ハヤカワ文庫 SF 斉藤伯好 2005/04 早川書房
  神々の糧 ― H・G・ウエルズ傑作集 ハヤカワ文庫 SF 小倉多加志 1979/06 早川書房
  透明人間  ― H・G・ウエルズ傑作集 ハヤカワ文庫SF 宇野 利泰 1978/03 早川書房
  タイム・マシン ― H・G・ウエルズ傑作集 ハヤカワ文庫 SF 宇野 利泰 1978/01 早川書房
  モロー博士の島 ― H・G・ウエルズ傑作集 ハヤカワ文庫SF 宇野 利泰 1977/11 早川書房
  来たるべき世界の物語 H・G・ウエルズ短篇集 ハヤカワ・ファンタジイ 宇野 利泰 1961/09 早川書房
  宇宙戦争 角川文庫 小田麻紀 2005/05 角川書店
  タイムマシン 角川文庫 石川年 2002/06 角川書店
  モロー博士の島 角川文庫 能島武文 1978/01 角川書店
  世界文化小史 角川文庫 下田直春 1990 角川書店
  透明人間 偕成社文庫 雨沢泰 2003/06 偕成社
  タイムマシン 偕成社文庫 雨沢泰 1998/07 偕成社
  モロー博士の島 偕成社文庫 雨沢泰 1996/08 偕成社
  眉村卓のタイムマシン   眉村卓 2002/05 講談社
  タイムマシン 講談社青い鳥文庫 加藤まさし 2001/08 講談社
  宇宙戦争 講談社青い鳥文庫 加藤まさし 1999/12 講談社
  透明人間 講談社青い鳥文庫   1998/06 講談社
  宇宙戦争 少年少女講談社文庫 代山三郎 1978 講談社
  モロー博士の島 岩波文庫   1998/06 岩波書店
  解放された世界 岩波文庫 浜野輝 1997/08 岩波書店
  モロー博士の島 岩波文庫   1993/11 岩波書店
  透明人間 岩波文庫 橋本槙矩 1992/06 岩波書店
  タイムマシン 岩波文庫 橋本槙矩 1991/05 岩波書店
  トーノ・バンゲイ 上 岩波文庫 中西信太郎 1983 岩波書店
  トーノ・バンゲイ 下 岩波文庫 中西信太郎 1983 岩波書店
  タイムマシン 岩波少年文庫 金原瑞人 2000/11 岩波書店
  世界史概観 上 岩波新書 青版   1966/06 岩波書店
  世界史概観 下 岩波新書 青版   1966/07 岩波書店
  ザ・ベスト・オブ・H・G・ウエルズ サンリオSF文庫 浜野輝 1981/06 サンリオ
  神々のような人びと サンリオSF文庫 水嶋正路 1981/03 サンリオ
  解放された世界 サンリオSF文庫 水嶋正路 1978/12 サンリオ
  世界はこうなる〈下〉―最後の革命   吉岡義二 1995/10 明徳出版社
  世界はこうなる〈上〉―最後の革命   吉岡義二 1995/10 明徳出版社
  透明人間 旺文社文庫 橋本 槙矩 1979 旺文社
  タイム・マシン 旺文社文庫 橋本槙矩 1979 旺文社
  改造人間の島 旺文社文庫 橋本槙矩 1978 旺文社
  透明人間 旺文社文庫 橋本槙矩 1978 旺文社
  改造人間の島 必読名作シリーズ   橋本槙矩 1989/04 旺文社
  魔法を売る店 旺文社ジュニア図書館 山主敏子 1977 旺文社
  宇宙戦争 くれよん文庫 福島正実 1989/05 春陽堂書店
  月世界探検 SFこども図書館 塩谷太郎 2001/01 岩崎書店
  透明人間 フォア文庫 南山宏 1991/10 岩崎書店
  タイムマシン フォア文庫 塩谷太郎 1979/10 岩崎書店
  タイムマシン SFロマン文庫 塩谷太郎 1986/01 岩崎書店
  アン・ヴェロニカの冒険 ヒロインの時代   土屋倭子 1989/04 国書刊行会
  白壁の緑の扉 バベルの図書館   小野寺健 1988/09 国書刊行会
  世界の頭脳―人間回復をめざす教育構想   浜野輝 1987/10 思索社
  ホモ・サピエンス 将来の展望 2 新世界秩序   浜野輝 1983/03 思索社
  ホモ・サピエンス 将来の展望 1 人類の運命   浜野輝 1983/02 思索社
  対訳ウェルズ 盲人国・ダイヤモンド作り・塀についた扉・他2編 現代作家シリーズ 名原広三郎 1986 南雲堂
  肉体を盗まれた話 他―対訳Herbert George Wells 英和対訳学生文庫 名原広三郎 1981 南雲堂
  人間の権利―われわれはなんのためにたたかうのか   浜野輝 1987/11 日本評論社
  恐怖の透明人間 世界こわい話ふしぎな話傑作集   瀬川昌男 1986/12 金の星社
  透明人間 ポプラ社文庫 海野十三 1982/07 ポプラ社
  イカロスになりそこねた男     1996/05 ジャストシステム
  Tiisai sekai rekisi   Murano Tatuo 1978/04 日本のローマ字社
  透明人間 特急世界名作シリーズ 武富紀雄 1979 潮文社
  ダイヤモンドを作る男 センチュリーブックス   1978/08 清水書院
  影のなかのロシア     1978 みすず書房
00 ウェルズ簡約世界史 Kobian college textbook   1994/03 こびあん書房
  現代世界文明の展望 上巻 人間の仕事と富と幸福   浜野 輝 1967/01 鹿島研究所出版会
  Selected Short SF of H.G.Wells ウェルズSF短編選 大学用英文テキスト   1999/01/20 開拓社
  タイムマシン夢書房―H.G.ウェルズからアインシュタインまで     1995/10 朝日ソノラマ
  裂けた額縁 H・G・ウェルズの小説の世界 英宝社ブックレット   1993/06 英宝社
  関連書籍他
  鉄の女―サー・ロッカート、ゴーリキイ、
H・G・ウェルズの愛人の生涯
  工藤 精一郎 1987/06 中央公論社

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