ところで“SFの黄金時代は12歳だ!”(一説には15歳)という有名な警句がありますが、この時期の若者の柔軟な脳にとって、読むSFの総てが傑作と感じるのは無理からぬところでありましょう(私もそうでしたが) 普通SFは、若者の視点から描かれることが多く、そこが若者向けのジャンルである所以でもありますが、同時にSFにおいて、無名の若者がおのれの才覚と努力のみで成功を勝ち取る物語が愛されるのもむべなるかなですね。 この『サンダイバー』とそれに続く〈知性化シリーズ〉の作品は、地位も力もある老成した頭の固い列強諸属 vs 柔軟な思考と勇気を兼ね備えた若き人類種属(チンプとイルカも含む)という分かりやすい構図で物語が構成されています。アーサー・C・クラークの傑作短篇「太陽系最後の日」を引き合いに出すまでもなく、SFファンはこういうプライドをくすぐられるパターンには極めて弱いんです(笑)(「Rescue Party」 by Arthur C. Clarke) ブリン氏は、天文学の博士ということもあって、当時の最新知識を駆使して、太陽の深部に迫ってくれるのも魅力の一つです。最新科学と黄金パターン、この組み合わせに抵抗できるSFファンは、数少ないでしょう(爆)
いえいえ、大好きですよ! J. P. ホーガンなんかの話させたら・・・(苦笑) なんですがあ……『サンダイバー』の場合は、なにがマッチしなかったのか、とにかく、読み進みたいし(おもしろいってことですよ!)、ってのはあるのに、読んでる最中は、イメージがすこんっ!と沸く場合と、もやもやする場合があって、その温度差がしんどかったのかもしれないですねえ…… なもんで、もいっぺん、読んでみっか……?と思う一方で、いやあ、また、あの、しんどさ体験すんのやだなあ……が、カットウするんでありますよ!(笑)
The "Killer B's"による三部作ですね(笑) 三人ともアシモフ氏のファンで、最終巻がブリン氏担当というのも、ブリン氏の"強引に"まとめる腕力が認められたのでしょう(笑) この〈知性化〉シリーズの特徴の一つは、人類の不屈の精神――列強諸属に決して屈しないところを楽天的なトーンで描いていることではないでしょうか。 アメリカのSFというと、ポール・アンダースンの初期の有名な短編「救いの手」あたりに見られるように、大きい勢力に飲み込まれるのを潔しとしない、かつ多様性を尊ぶ精神が一般的だったと思います。 ハインライン氏の有名キャラ、ラザルス・ロングも共同思考体に飲み込まれて安逸に暮らすことを拒否してますし、前記の参照先の《キリンヤガ》も、独立独歩と多様性をテーマにしてました。 (「The Helping Hand」 by Poul William Anderson, 『Methuselah's Children』 by Robert A. Heinlein "Lazarus Long", 「Kirinyaga」 by Mike Resnick) ま、ユニークであれということなんでしょうけど、変わったものが大好きなSFファンには、受けいれやすいんではないかと。だから、女流SF作家の書く、野蛮な海賊より洗練されたクローン国家を選んだり、いけ好かない男性よりは異星人を選ぶ女性の物語を読むと衝撃を受ける(笑) (「Downbelow Station」 by C. J. Cherryh, 「The Women Men Don't See」 by James Tiptree, Jr.) まあ、そういうSFファンの古風な嗜好にぴったり合った物語だと思います。