量子力学を考慮していない力学は古典力学といいます。相対性理論も量子力学を考慮していないので、古典力学だということになります。
では、量子力学とはなにかといいますと、簡単に言えば原子核を構成する陽子や中性子、電子などの小さい物体に適用するための力学です。
電子などの流れを普通の私たちが観察できるレベルのスケールで観察する限りにおいては、そのふるまいは古典力学、つまりはニュートン力学となんら変わるところはないのですが、原子が見えるほどの距離のスケールまで拡大して見たとき、粒子は位置と速度を同時に観測できなくなるというように雲をつかむような存在に変身してしまいます。(正確には位置と運動量が同時に測定できない。)そのときの粒子のふるまいをあつかうのが量子力学なのです。
量子力学は身近なところではコンピュータに使われる半導体のふるまいを計算するのに使われていたりします。
さて、もともと量子力学はニュートン力学が小さいスケールの世界でどのようになるか、ということを研究するように作られていたため、光速に近い物体に対してはそのままで使うことはできませんでした。
元々、アインシュタイン自身は量子力学に懐疑的でありました。量子論では結果が確率で求まるので、確とした結果が計算できるものだと考えたアインシュタインの信念に反するものだったからでした。アインシュタインは死ぬまで量子力学を認めることをしませんでしたが、特殊相対論と量子力学の融合は比較的早く実現してます。
小さな粒子(素粒子)同士が衝突したときにどのように反応するかを研究する素粒子論では最初から相対論を考慮した形で理論が作られています。
インターネットでよく使われている、ウェブを記述するためのHTMLを開発した人達がCERNという研究所の人達だったということを御存知の方もいらっしゃるでしょう。このCERNは高速な素粒子同士の反応を実験するための粒子加速器施設だったりします。彼等は普通に相対論的量子論を扱っていることになります。彼等の実験結果は非常に高い精度で理論式の結論と一致しています。そのことも、ある意味相対論が正しいことの傍証であると言ってかまわないでしょう。
さて、特殊相対性理論は比較的簡単に量子力学と融合させることができましたが、一般相対性理論はそうはいきませんでした。一般相対性理論では重力を扱いますが、この重力を量子力学の枠にあてはめようとすると結果に無限大が出てしまって、計算できなくなってしまうのです。多くの科学者がこの無限大の回避の研究をしていますが、いまだ解決には至っていない状況だったりします。
次回解説しますが、いわゆるひも理論がその解決の糸口となるのではないかと言われています。
さて、本題から離れてしまいますが、一般相対性理論のある特徴について「ケイヴァー氏のその後」を題材にしてちょっと説明してみたいと思います。こちらを御覧下さい。
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