特殊相対性理論が登場するきっかけとなった電磁気学はそれまで別々のものであると考えられてきた電気と磁気が同じ、統一的な理論で記述できるということを示したものでした。磁界の中で電線を動かすと電流が流れるし、電流のまわりには磁場ができます。つまり両者は互いに生成しあう統合的ななにかであるのです。
特殊相対性理論では、そうしてできた電磁気学で記述した力学とニュートン力学を統一したものでした。ニュートン力学においては電磁気学の帰結である光速度不変が保たれなくなるので、ニュートン力学を修正して電磁気学が成立する力学を作ったのです。
そして、加速運動と重力を受けている状態が同じであるとしたのが一般相対性理論です。加速しつづけるロケットの内部と落ちるエレベーターの内部は区別できないだろうということです。
このように、近代物理学においては物理理論の統合がひとつのテーマといえるのではないでしょうか。
アインシュタインの存命中にも、さらなる統一の理論が作られようとしていました。アインシュタインそのひとも重力と電磁力が統一できないかということを晩年の研究のテーマとしたのでした。
その中でも、特に最近ひも理論との関係でよく取りざたされるのが、カルーツァ=クラインの理論でした。アインシュタインの理論では時空を4次元として扱っていましたが、これが5次元であるとすると、自然に電磁気学が重力理論と統合できるというのです。
ただし、そのためには5番目の次元軸は小さくまるめられていなくてはいけませんでした。
通常見ることのできる私達の空間には5番目の軸など認識できないので、それは認識できないほどに小さい必要があったのです。まるめることで、電磁気が持つゲージ対称性というものも確保できるようになります。しかし、この野心的な理論も実際には認められることはありませんでした。
量子力学の方ではこれとは別の方向で統一が進められていました。
まず素粒子がベータ崩壊するときにあらわれる弱い力と電磁力が統一的に説明できることが示されました。いわゆる電弱理論というやつです。
次いでクオークを結びつける強い力とこの電弱力が統一されました。これで主要な力のうち3つまでが統一されたのです。統一理論というものです。
ところが、ここで最後の難関がまちかまえていました。統一力と重力を統合しようとすると、方程式のあちこちに無限大が生じたりして理論が成立しなくなってしまったのです。
さまざまな角度から統一の試みが行われましたが、なかなかうまくいくことはありませんでした。
そんななか、物質をつくる根源粒子は実は点(0次元)ではなくひも(1次元)のものであったという、ひも理論がでてきました。しかも、このひもは10次元とか11次元とかの高次元に存在するものだというのです。物質も空間もこの高次元のひもの振動によって生み出されるというものでした。
このひもの方程式を用いると重力方程式の解が得られるのだそうです。
もちろん、先ほど出てきたカルーツァ=クラインの理論と同様、4次元より上の高次元に関しては通常見ることができないので、まるくまるまってるものと解釈されています。
さすがにここまでくると、最新の物理学の情勢ということになってしまい、筆者の能力を超えてしまっています。ただ、このひも理論が現在のところ、量子力学と相対性理論を統合する有力な方法であるということは確かなようです。
ひも理論については色々と書籍も出ていますので、関心のある方は調べてみてみてください。
終りに
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