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Bookreview


コールド・ゲヘナ1

ISBN4-07-310947-2

三雲岳斗著、きがわ琳イラスト

第五回電撃ゲーム大賞銀賞受賞作!

コールド・ゲヘナ2

ISBN4-8402-1256-2

三雲岳斗著、きがわ琳イラスト

コールド・ゲヘナ3

ISBN 4-8402-1393-3

三雲岳斗著、きがわ琳イラスト

メディアワークス 490〜590円 1999/2/25〜2000/1/25
 荒涼たる砂漠の惑星ゲヘナ。そこは同時に、強大な龍をはじめとする魑魅魍魎の闊歩する世界でもあった。彼らにうち勝つ可能性のある手段はただ一つ、人型の超高速ロボット、デッドリードライブだけだった。
 凄腕との評判を取るデッドリードライブ乗り<なまくら>バーンは、謎の少女アイスを助けたことから、否応なくこの世界の覇権をかけて「教団」との争いの渦中に・・・
 『M.G.H.』でSF新人賞を受賞した作者のヤングアダルトもの。つぼを押さえたストーリー展開で、楽しめました。デッドリードライブの振るう剣が、亜光速に達して質量が増大するとかいう描写を読むと、「そんな馬鹿な」と思いつつ、作者にのせられてしまいます(笑)
 なお番外編である『コールド・ゲヘナ あんぷらぐど』(2000/8/25)は、バーンの古馴染みの女王メリーアンが強要された集団お見合いを描いた爆笑短編「いつか誰かが・・・」を含む短編集です。三雲さんは、私と笑いの波長が一致しているなぁ、この短編には悶絶してしまいました。

M.G.H. 楽園の鏡像

ISBN4-19-861194-7

三雲岳斗著、加藤直之画

第一回日本SF新人賞受賞作!

徳間書店 1600円 2000/6/30
 鷲見崎凌は、材料工学研究室の大学院生で助手をしているが、ある日四歳年下の従妹、森鷹舞衣に日本初の滞在型宇宙ステーション「白鳳」に行かないかと誘われる。確かにとんでもない額の料金を支払えば、民
間人でも宿泊は可能なのだが。しかし、舞衣の話を聞いて凌は、さらに驚く羽目になった。なんと政府の主宰する、結婚するカップルを招待する出生率低下対策事業キャンペーンに、書類上だけの新婚カップルとして応募し「白鳳」にハネムーンで行こうというのだ。
 舞衣のことを女性としては意識したことがないが、憎からず思っていた凌は、材料工学の権威朱鷺任数馬博士に会える可能性があるとあって承知してしまった。「白鳳」を訪れた二人は、無重力ホールで与圧服を着たままの死体に遭遇する。しかもその所見からは、無重力ホールであるにも関わらず、墜落死としか思えなかったのだ。
 いいですね、これ。正統派SFミステリの王道ですわ。あのクラーク氏を彷彿させる作品に仕上がっております。謎解きは、理系の読者なら途中で気が付くかもしれませんけどね(笑。私は、最初の謎は途中で分かったんですが、二番目は分かりませんでした)かなりかみ砕いて説明してありますので、科学に弱い読者にも薦められると思います。
 野尻抱介さんや笹本祐一さんの宇宙小説がお好きな方には特にお薦め。

『海底密室』

ISBN 4-19-905012-4

三雲岳斗著、大本海図イラスト

徳間書店 762円 2000/9/21
 海底四千メートルで深海底生活圏実験計画が行われている実験施設〈バブル〉。取材でそこを訪れようとしていた鷲見崎遊は、二週間前に常駐スタッフの一人が謎の死を遂げていたことを知らされる。鍵をかけられた密室での死ということで、警察では自殺として処理されていた。一緒にバブルへと向かう人たちは、交代要員と、死んだ須賀の弟も兄の死んだ場所をどうしても見たいということで参加していた。
 しかし、部外者の二人を迎えたバブルの閉じられた密室でまた死亡事件が起こったのだった・・・
 前作『M.G.H.』と同じく、厳密に設定されたSFミステリの傑作ですね。鷲見崎遊(『M.G.H.』の主人公は鷲見崎凌)の持つ携帯末端は、御堂健人の人格を複製したアプリカントが動いているのですが、このAIと協力して事件の解明にあたっていきます。バブルのハッチが自動的ロックされるところなど良く「細部に神は宿る」と言われますが、まさに細々とした科学的設定を積み上げて現実感を醸し出しています。

アース・リバース

ISBN 4-04-424101-5

三雲岳斗著、中北晃二イラスト

第五回スニーカー大賞特別賞受賞作!

角川書店 533円 2000/7/1
 見渡す限りのドロドロに融けた灼熱の溶岩とそれによる熱対流。
 凄まじい磁気嵐と暴風が吹き荒れる世界、そこが炎界<フレームシー>だ。そこで生存を許された人類は、基底部に取り付けた巨大な超伝導アンカーのマイスナー効果により浮上している直径10キロもの鋼鉄の島の住民たちだけだった。同じ様な要塞島<リダウト>との攻防に明け暮れるシグは、この過酷な環境で飛行できる唯一の兵器デミ・エンゼル(人型航空兵器)乗りだが、ある日領空に侵入してきた敵を追いつめた際に、不時着した敵機から這い出した少女を助けてしまう。本来なら即座に殺さなければならない敵を助けたことによって、シグ自身も追われる立場となってしまうのだが・・・
 魅力的な設定のライト・ノベルです。基本的には、ヒーローがヒロインを救いだし、新しい世界を目指すという古来からのパターンなのですが、色々楽しめる仕掛けがありますね。この設定を活かして三雲岳斗さんお得意のSFミステリも期待したいところです。
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