A#: 堕天使
墜落の夢をよく見る。背中に生えた翼で自由に空を飛んでいたのに、何者かにいきなり翼をもぎ取られて落ちるのだ。汗だくになって目覚めると、いつもきまって肩甲骨からわずかに離れたところ、何もないはずのあたりが痛い。
何かに呼ばれた気がして街中で振り返ると、ほんの一瞬だが荒涼とした海岸の風景が見える。海から吹きつける強風の中、砂浜から生えたふたつの翼がはためいている。
私はいつか一番高い塔の上から飛びたつだろう。たとえ地面に激突するだけだとしても、その刹那に自分のほんとうの姿が見えるはずだから。
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