いまは遠く離れてしまった人の声をまるで傍らにいるかのように聞ける。テープレコーダーみたいな先端の科学の道具が暮らしのなかに入ってきて、それははじめて可能になったことのはずですけれど――ひょっとしたら昔だってさまざまな音たちは消え去ったりせず、実はどこか人の知らないところでずっと存在しつづけていたのかもしれません。
だってひとたびこの世に生みだされ、それによって人の運命を変えたりできるほど強い力をもつ……あの言葉というものが、それほど儚く失われてしまうなんてそもそも信じられないじゃありませんか?
だからあるいはどこかの山奥で、こんな奇妙な石を見つけて手にとってみる日が、いつかあなたにもくるかもしれませんよ。
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第83号 |
音の石 |
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