昔、ベルクソンというフランスのえらい哲学者がいたんですが、もちろんベルクソンが何を言っているかなんて私にはさっぱり判らないのですけれど、フランスの哲学者にドゥルーズという人がいて、「質的な差異があるところに段階的な差異を認めてきたのだというのが、ベルグソン哲学のライトモチーフである。」と言ってます。この質的な差異と段階的な差異の混同という言葉に救われたように思ったことがあります。例えば生と死の差異は、人間が段階的に劣悪な状態に陥って生から死へと向かうのではなく、生と死は並列して共存し、そこには質的な差異のみがあるような、つまりそれはより根源的な原理の元ではひとつのものの異なる位相でしかないという認識。そうした生も死も異なるものであり同一のものであるかのような認識がありえるとすれば、それはカオスの組織化であるような、つまり悪魔の支配する世界だと。そんな物語を書いてみたいと思いました。
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タイトル
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第48号
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手紙
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