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『飛翔せよ、閃光の虚空へ!』
スコーリア戦史1 キャサリン・アサロ著 中原尚哉訳
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ハヤカワ文庫SF | 800円 | 1999年12月15日刊 | ||
粗筋:
四世紀前にローンという科学者が、エンパスの形質を復活させようと試みてローン系エンパスの血統が生まれた。そのエンパス能力は、他人の感情を受け取るのだけではなく、超空間ネットワークに接続することによって、瞬時に情報を受け取ることが出来るのだった。一方、苦痛に対する耐性を持った人間を生み出そうとする試みは、アリスト階級人を生み出した。彼らは、他人の苦痛を快感として受け取る生まれながらのサディストであった。そして、エンパス能力者の苦痛は、彼らにとって最上級の晩餐であるのだ。 スコーリア王女にして、ローン系エンパスのソースコニー・バルドリアは、スコーリア王圏軍の一慰であると同時にサイボーグ化されたジャグ戦士でもあった。実は、彼女は四十八歳なのだが、肉体年齢は二十代そこそこにしか見えない。彼女の隊が中立惑星で休暇を取っている時、運命としか思えない出合いをする。その相手は、敵対するユーブ協約圏のアリスト階級人の王位継承権者ジェイブリオル。なんと彼は、ローン系サイオンの遺伝子を持つ、アリスト階級のなかでも最上級の貴族ハリトン位であったのだ。一体この事実はどう解釈したら良いのか・・・ |
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日本で言うとちょうど《星界の紋章シリーズ》のような新時代のスペオペです。作者は、マックス・プランク協会の天体物理学研究所にもいたことのある物理学者で、しかもバレエの先生であるという才人なので、科学考証の方も抜かりがなく、ハードSFファンも安心して読めると思います。
ハード度は、ヴォルコシガン<スコーリアと言ったところかな。お話の巧さというか完成度は、ヴォルコシガン>スコーリアでしょうが。 スカイラークとかレンズマンに心躍らされたオールドファンにもお薦めできます(ストーリー展開が古典的ですから。あ、これは読みやすさという点からいうと、ひとつの長所だと思います) |
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『稲妻よ、聖なる星を目指せ!』
キャサリン・アサロ著
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ハヤカワ文庫SF | 880円 | 2000年3月31日刊 | ||
粗筋:
1987年アメリカ連合国、ロサンジェルス。17歳の少女ティナは、バイトの帰りに顔見知りのいけ好かない男に絡まれるが、その危機から、これまた妙な男に救われる。実は、その男オルソーは、24世紀のロスに着陸するつもりが事故のためにこの宇宙に迷い込んでしまったのだった。初めはオルソーのことを信用しなかったティナだが、彼の持つ多元通信機や、なによりオルソーの目にかかる金色の瞬膜を見て彼に信頼を寄せると同時に、恋に落ちたのだった。 |
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前作が「ロミオとジュリエット」のハードSF風翻案とすれば、この作品は、「シンデレラ」ですね。未開惑星(地球のことです^^;)の人類が、高次生命体に見いだされて、というとコリン・ウィルスンの作品を思い起こしますが(大元のネタはヴァン・ヴォクトですが)普遍的なSFファンの願望なのでしょうか?ともあれ、ハードSFとスペオペの幸福な結婚によって生まれた本書は、どちらのファンにも等しく愛され続ける作品に仕上がっていると思います。 |
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『制覇せよ、光輝の海を!』
キャサリン・アサロ著 中原尚哉訳
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ハヤカワ文庫SF | 各800円 | 2000年8月31日刊 | ||
粗筋:
一作目で、惑星近くで超空間遷移を試みて死亡されたと考えられているソズとジェイブリオルの二人は、ローン系サイオンの子宝にも恵まれ、未開惑星で幸せをはぐくんでいた。 一方、スコーリア王クージとユーブ帝圏皇帝コックスは、ともに第一王位継承者を失い対立は深まるばかりであった。策略から、連合圏の暗号を入手したユーブ帝圏は、それを利用してスコーリア王を目標とした作戦を実行に移した・・・ |
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とまあ色々ありまして、結局は夫君のジェイブリオルを拉致されたソズが、怒り心頭に発して、自ら指揮を執り戦闘に赴くのです。う〜ん、格好良いぞ、惚れちゃうなぁ。
だいたい若いSFファンというのは、強くて美しいお姉さまに憧れますよね。私の若かった頃だったら、"ビジンダー"とかヽ(^o^;)丿 |
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[雀部] 48歳、歯科医、SF者、ハードSF研所員 ホームページは、http://www.sasabe.com |
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