高本淳さんとの出会いは、商用BBSだったasahi-netのsoliton会議でした。堀晃先生が議長であったこの会議は、
「ソリトン」誌発刊のためのクローズドなものでしたが、当時sf会議の議長をしていた私も縁あって参加させてもらっていました。
その中に、合評会(soliton/discuss)というのがありまして、
そこでは「ソリトン」誌に掲載された短編の感想・講評が繰り広げられていました。その読者と作者による高度なやりとりは、
SF者冥利に尽きると言いましょうか、後に私が「アニマ・ソラリス」で著者インタビューを始める契機となるものでありました。
ま、私のは力及ばず感ありありなのですが(汗;)
その論客たちの中で、高本淳さんの該博な知識に裏付けられた鋭い批評は、
ひときわ異彩を放っていました。毎回高本さんの講評を読む度に、いったいこれを書くのにどれだけの時間を費やされたのだろう、
私も高本さんの作品に対して、同じくらいの労力を費やしたいものだと常々感じていました。短編を書くのと、
批評文を書くのとではどちらが時間がかかりますかと聞いたこともあって、明確なお答えは頂けなかったのですが、
同じくらいの時間がかかっているように感じました。
「イカルスⅡ」
に対する詳細な講評を書いたのも、今となっては良い思い出ですが、その時のやりとりが、
今号に掲載した「『イカルスⅡ』著者インタビュー」です。
亡くなられてから、Second Life や Japan Open Gridにおけるご活躍を知り、驚くと同時に、納得させられる部分もありました。
いまは「早すぎますよ高本さん。」としか申せませんが、心よりご冥福をお祈り申し上げます。