■増えてゆく
一年半ほど前にくも膜下出血で倒れた。
気がついたら病院のICUだった。くも膜下出血には頭痛がつきものと思っていたのだが、頭痛は一切なく、ある瞬間、突然、意識を失ったらしい。ブレーカーが落ちるように。床に倒れている私を夫が見つけて救急車要請。ほんとに夫には心配をかけた。病院に着いた時には意識レベルは「ダイイングレベル」。ほとんど死んでいたらしい。
手術して助かって幸い後遺症もないのだが、かえすがえすも惜しいのは「臨死体験」ができなかったこと。意識がなくなっていたからか、とにかく、光のトンネルもお花畑も見なかった。惜しい。
ICUで少しずつ意識が戻って、会話もするようになったのだが、そのときの会話をまったく覚えていない。夫に今何がしたいかときかれて「仕事」と言ったらしい。えらい。
でもしばらくして夫に「キスして」とせがんだというから、「仕事」もその内容はあやしいものだと思う。まあ、ほんと、助かってよかったです。>> |
■蟻の王
人間に感染する(?)奇妙なコンピュータ・ウィルス、巷に蔓延する蟻の複眼に似た仮想現実端末…主人公の住む世界は次第に混迷の度を増していく。すべては狂気あるいは多重人格のなせる業なのか? 主人公が収容された精神病院で物語は唐突に大団円を迎える。>>
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■ダークマター
居住可能な惑星を求め銀河をさすらうシーカーたち。彼らが駆る宇宙船は遥か昔地球人類がテラフォーミングの目的で宇宙にはなったティップラー/フォンノイマンの機械たち――『イシュタル』と呼ばれるそれらは長さ20キロメートルに及ぶ巨大な自律型ラムジェットシップだった。そんなシーカーのひとりである主人公は人工冬眠から目ざめて自分たちが重大なトラブルに陥っていることに気づく。予期せぬ隕石群との衝突でイシュタル機械は深刻なダメージを受け最愛の家族もまたその生命を奪われていたのだ。唯一人生き残った娘とともに彼の生存へ向けての長く孤独な闘いがはじまる。>>
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■アダムたちの檻
ゴステムたちは歌う。
惑星へと落下してゆく着陸船の中で、蘇生されたRは教授たちに何を語ったのか?
ゴステムたちは踊る。
プロジェクト・アダムの成功を祈り。未来のために。
――最後のステップが踏み鳴らされ、長いショーは終焉をむかえた。
そしてアダムたちは、おぞましいドラゴンの姿を目にする。>>
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■見えない旅人
全部で8回連載、全64話の予定です。易経の64卦に対応しています。普通の小説と趣が全然違うので、めんくらった読者が多いと思います。でも、あと少しで終わりです。全部読んだ方にはきっと見えてくるものがあるでしょう。今回、旅人の秘密がまたひとつ明らかに……。>>
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■シャンダイア物語
風の岬を出航したブライスの艦隊は、ザイマンの北西の海域で南の将グルバの大艦隊と遭遇する。両軍合わせて五百隻に及ぶ艦船による決戦の火蓋は切って落とされた。南海を朱に染めてブライスとグルバが、デルメッツとソチャプが、カインザーの戦士と海賊とバルトールの勇士達がソンタールの兵と神官を相手に壮絶な死闘を繰り広げる。シャンダイア、ソンタール戦史上で後期三大海戦の第一戦として記録されるイクス海の海戦を一挙掲載。>> |